マーケティングにおいて「タッチポイント」という言葉を聞いたことがありますか。
タッチポイントとは、直訳すると「接点」という意味ですよね。
つまり、顧客との接点のことを指します。
ここでは、マーケティングにおいて成果を出すためのタッチポイントの種類や、
組み合わせの方法、具体的な使い方についてご説明します。
タッチポイントを使用した具体的な企業ブランディングの参考にしてください。
タッチポイントとは?
タッチポイントとは、冒頭でもご説明した通り企業やブランドと顧客を結ぶ接点のこと。
インターネット環境が普及する以前は、テレビやラジオ、雑誌、フリーペーパー、DM、
実店舗などが企業と顧客を結びつけるタッチポイントの主流でした。
おそらく誰もが、テレビCMや雑誌を見て、商品の購買意欲が高まった経験があるはずです。
まさに企業やブランドと顧客をつなぐポイントですね。
ところが、タッチポイントを取り巻く環境は、インターネット環境の普及によって大きく変わりました。
ネット環境によって、ブログや比較サイト、SNS、インターネット広告など、
これまでよりも多種多様なタッチポイントが存在しています。
またそれに伴い顧客側もさまざまな場面でタッチポイントに触れる機会が増えました。
自社ブランディングの際には、オフライン・オンライン問わずさまざまなタッチポイントの中から、
戦略的にタッチポイントを組み合わせてターゲット層に訴求する必要があります。
タッチポイントが増えるほど、顧客に対する影響度が高まる
タッチポイントが増えたことで、顧客に与える影響力も増します。
つまり、それは企業側からしても、どのタッチポイントで効果があったのかを図る必要があり、
正確な分析が求められるのです。
タッチポイントを状況に応じて組み合わせ、ターゲット層に訴求し、
どのタッチポイントで成果が高いのか、どの組み合わせが有効なのか、
スピーディーにPDCAサイクルを回す必要があります。
企業ブランディングに影響するタッチポイント
タッチポイントの種類が増え、ターゲット層に合わせたタッチポイントを組み合わせ、
PDCAサイクルを回し最適化する必要があることを理解していただけたかと思います。
では、企業ブランディングに影響するタッチポイントをどのように組み合わせた方が良いのか考えていきましょう。
ブランドイメージを決定する
最適なタッチポイントを決めるためには、ブランドイメージを決定する必要があります。
どのようなブランドを訴求したいのか、そのブランドまたは、商品がどのようなターゲット層を対象とするのか、
これらの要素を決定していなければ最適なタッチポイントを見つけ出すことはできません。
まずブランド、商品イメージを詳細に確立するところからスタートしましょう。
ターゲット層と接触する数
ブランドイメージが確立した場合、次に考えるべきことはブランドを訴求するターゲット層と接触する数です。
つまりターゲット層にどの程度ブランドを訴求するのかを決定します。
タッチポイントの数を増やせばブランドの認知度は上がりますが、
タッチポイントが多すぎると顧客はマイナスイメージを持ちます。
つまり、タッチポイントにも最適な数が存在します。ブランドを訴求するにあたり、
最適なタッチポイント数はどのくらいなのか算出しましょう。
ターゲット層と接触する難易度
タッチポイントを考える際には、ターゲット層と接触する難易度も重要です。
多くの人の視界に入るマス広告や、インターネット広告は間口が広く、タッチポイントと出会う難易度も低いです。
しかし、間口が広い反面ターゲット層を絞り込むことができません。
このような場合は、広告費が増大する可能性があり、
広告予算がある企業が先手として行う手法には向いているでしょう。
また、特定の方が閲覧できる会員誌や地域情報誌などニッチメディアに多い広告媒体などは、
タッチポイントに接触する頻度が下がります。
ただ間口が狭い反面、確実にターゲット層にアプローチできるので、
段階的なブランディングをする中小企業やスタートアップ企業に向いています。
このように、タッチポイントと出会う機会が多いから、ブランディングに優位なわけではなく、
状況に応じて難易度を組み合わせることも重要。
訴求する情報の向き
企業ブランディングにおいて影響を与えるタッチポイントは、情報の向きも分析しましょう。
情報の向きとは、企業側が出向いてタッチポイントをつくるのか。
もしくは、プッシュせずにプル型として受け取ってもらうのか。
タッチポイントの情報の向きも、ブランディングに影響を与えます。
タッチポイントの数・難易度・情報の向きを総合的に考えることで、最適なブランディングにつながります。
ストーリー展開にてタッチポイントをつないでいく
ここでは、企業ブランディングの成果を獲得するタッチポイントの活用の仕方をご紹介します。
中でも、あらかじめペルソナマーケティングを行い、
ターゲット層に適したタッチポイントをストーリー展開のもとつなぐ手法をご紹介します。
ペルソナ例
氏名: | 山田 花 |
性別: | 女性 |
年齢: | 28歳 |
仕事: | OL |
勤務時間: | 9時〜18時 |
家族構成: | 都内1人暮らし(実家は静岡で両親と祖父が暮らしている) |
生活スタイル: | 都内でOLとして一人暮らしの山田花さん。残業で帰りが遅くなることもしばしば。 自分へのご褒美として、仕事帰りにコンビニスイーツを購入することが多い。 最近では、コンビニスイーツを概ね食べつくし、新たなスイーツを探している。 |
趣味: | 小旅行、映画鑑賞、週末のスイーツ巡り |
タッチポイントのストーリー展開
スイーツ巡りが好きな28歳女性の山田さんは、金曜日の夜になるとケーキ店の口コミ情報、
お気に入りの個人ブログのスイーツ情報を見る機会が多い。
また仕事帰りに本屋さんでスイーツ雑誌を読むこともしばしば。
また、実店舗へ足を運ぶ以外にもネット通販でスイーツを注文することもあります。
結果分析
このストーリーの場合、ターゲットとなる女性の行動分析を行うと、日々コンビニスイーツを食べていること、
また週末にはスイーツ巡りをするほど、無類のスイーツ好きであることがわかります。
近隣のスイーツ店なども詳しく把握しており、より目新しいスイーツを探している可能性が高いです。
それらを踏まえると、仕事帰りの本屋さんやコンビニに配置するフリーペーパーや、
雑誌、ネイティブアド広告などがタッチポイントの候補に入るでしょう。
無類のスイーツ好き山田さんであれば、例えば、タッチポイントの数を地元フリーペーパーや会員誌のみに減らし、
タッチポイントと出会う難易度を上げ、タッチポイントの方向性をプッシュ型にすれば、
隠れ家的高級スイーツ店としてブランド訴求できるかもしれません。
このようにタッチポイントは、単に数や種類を増やせば良いのではなく、
ブランドイメージとペルソナを前提に、最適化する方法も手法の1つです。
成果を出すためにさまざまな種類のタッチポイントを組み合わせる!
企業ブランディングでは、ブランドやペルソナのイメージに沿って、
数あるタッチポイントから最適なものを組み合わせると効果が出やすいです。
たとえば、前章ではスイーツが好きな山田花さんの例をご紹介しました。
ペルソナマーケティングで設定した山田花さんは、スイーツが好きでコンビニスイーツはほとんど食べており、
普段からネット通販でスイーツのお取り寄せをしています。
このような場合、通常であれば普段から利用しているサービスを対象に、本屋さんに配置するフリーペーパーや、
インターネット利用率も高いことから、インターネット広告をタッチポイントにすると良いかもしれません。
その一方で、山田花さんは普段からスイーツに詳しい方で、見慣れている商品よりも、
普段はあまり購入できないようなハイクラスのスイーツを求めているかもしれません。
そのような場合、普段から利用しているインターネット広告やネット情報には目が向かない可能性もあります。
そこで、タッチポイントの数を少なくし、地元の一部の店舗にしか置いていないフリーペーパーや、
いつも利用している美容室のカウンターにこっそり高級スイーツ店の名刺が置いてあったらどうでしょう。
誰でもが知るインターネットのありふれた情報ではなく、
地元の人しか知らないフリーペーパーや幹線道路から少し離れた屋外看板でも良いです。
そのような情報であれば、特別感があり、私だけの情報として認知されるかもしれません。
これはブランドが高級スイーツ店で、隠れ家的な店という設定の場合ですが、
タッチポイントを地元のフリーペーパー、実店舗と限定して組み合わせたことで、
そのブランドにふさわしい最適化したタッチポイントとなりました。
インターネット広告が多くなった今だからこそ、リアルを追求したタッチポイントが、
さらにブランド価値を高める場合があり、企業の独自性として目立つ例もあります。
訴求するブランドや商品の魅力を十分に分析した上で、さまざまなタッチポイントから最適な案を選定しましょう。