バナー

マーケティングとは何か?その基礎を入門レベルで定義と理論そして戦略を含めて徹底解説

#広告コラム

最終更新日:2023年02月17日

マーケティングという言葉は、ビジネスで頻繁に使用される用語ですが、
その多くが市場リサーチや宣伝活動など人それぞれによって解釈が違い、
本来の意味はどのようなものなのか、わかりづらい用語でもあります。

ここでは「マーケティングとは何か」に焦点を当てて、
マーケティングの定義とマーケティング戦略の重要性、さらにはマーケティング基礎を具体的にご紹介致します。

本記事後半には、マーケティングを活用した最新事例とマーケティング理論を学ぶために
最適なマーケティング入門書についてもお届けしますので、合わせて参考にしてください。
マーケティング戦略の組み立て方についても触れ、自社に活用して頂ければ幸いです。

マーケティングフレームワークについても、手順を追って解説して参ります。
マーケティングとは何なのかその本質に迫りましょう。

余談ですが、マーケティングの費用対効果を高めるために
広告媒体データベースを使用している企業様が多くなっています。
実際に、弊社でも業務スピードを上げて、費用対効果の高い媒体を提案し受注するために、
18万の出稿実績データと4000の媒体を収録するスタートライズメディアカタログという
自社開発したツールを使用しています。

マーケティングとは何か?

みなさんは、マーケティングと聞いて何をイメージするでしょうか。
マーケティングというと市場リサーチや宣伝活動などと感じている方も多いはずです。

ここでは、マーケティングとは何かについて具体的にご説明致します。
マーケティングについては、公益社団法人日本マーケティング協会に明記されている定義を参照してみましょう。

<マーケティングの定義>

マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、
顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。

日本マーケティング協会 1990年

1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、
および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。

引用元:マーケティングの定義|公益財団法人日本マーケティング協会
https://www.jma2-jp.org/jma/aboutjma/jmaorganization

 
日本マーケティング協会では、このように定義されています。少しわかりにくい印象を受けるかもしれませんが、
着目すべきは「企業および他の組織」、「相互理解」、「市場創造のための総合的活動」です。

特に「市場創造のための総合的活動」がマーケティングの要と言っても良いでしょう。
つまり、市場調査・製品・価格・プロモーション・流通・顧客や環境との関係性に至るまで
その全てをマーケティングと呼びます。

わたしたちが、普段呼んでいる「市場リサーチ」や「プロモーション」は、
マーケティングの一部にしか過ぎないということです。さらにマーケティングを総合的に判断すると、
企業と顧客とが「儲け続ける仕組みを構築すること」と表現できます。

自社だけが儲け続けることはマーケティングの本質ではなく、
企業と顧客双方が良好なWin-Winの関係を築くことが本来のマーケティングなのです。
企業は、顧客にとって最適なサービスを提供し、
顧客はそのサービスを利用し値段以上の価値を得ることで、企業と顧客とが良好な関係になります。

マーケティングにおいて、把握しておくべきポイントはそう多くはありません。
ここでは、マーケティングにおける基本用語についてみていきます。
基本用語をおさえておくだけでも、マーケティングについて体型的に学ぶことが可能です。

ベネフィット

ベネフィットとは、一言で表現すると顧客が商品やサービスから得られるメリットのことを言います。

商品やサービスから得られるメリットをさらに分解してみていきます。
「顧客は商品を購入しているのでしょうか。」実はこの問いにベネフィットの全てが詰まっています。

たとえば、顧客がゴルフクラブを購入しようと考えていたとします。
そして、顧客はゴルフクラブの中でも、飛距離をだせるドライバーを購入しようと来店しました。

このような場合、顧客が欲しいものはドライバーだと考えがちですが、
そうではなく顧客が欲しいものはドライバーを使って得られる「飛距離」です。

店員側は、ドライバーを顧客に販売していますが、顧客側は飛距離を買いにきています。
とはいえ、店員側は顧客に確実な飛距離を保証してドライバーを売ることはできません。

それは、ドライバーの素材や顧客の筋力や技術には差があるからです。
また顧客の予算にも影響されるのも理由の1つです。

このときに注意しなければいけないことは、顧客が欲しいものはドライバーを購入して得られる飛距離であり、
その飛距離について親身に相談に乗ってくれる店員から購入したいのです。

自分のゴルフの経験や、技術などから自分にあったドライバーを店員に提案して欲しいと思っています。
ここにマーケティングの本質があります。

そもそも、顧客は飛距離を買いたいのに、店員はドライバーを売っています。
ここに矛盾が生じることで、顧客は不安を感じてしまうのです。この矛盾を解消するために必要なのが「信用」です。

店員が、飛距離を出したいという顧客の悩みに対して、
丁寧に向き合えば店員を信用した顧客が実際にドライバーを購入してくれます。

ベネフィットを考える上で、重要なことは顧客と売り手は全く別なものを売買しているということです。

つまり、商品やサービスが売れないときに考えるべきことは、
顧客に対して適切なベネフィットを提供できているかどうかということなのです。

きちんと顧客にベネフィットを説明できないと、顧客は購入という行動には移してくれません。
マーケティングにおいても信用こそが重要です。

差別化と強み

顧客に対して、ベネフィットを説明し、商品やサービスの価値を提供すれば購入してくれるかというと、
そうすんなりと購入には至りません。

その理由は、どの分野でも競合が存在するからです。
そして、競合を勝ち抜くために、市場原理を理解するために必要なことが「差別化と強み」です。

たとえば、マクドナルドとモスバーガーを参考にするとわかりやすいです。
マクドナルドもモスバーガーも、どちらもハンバーガーを商品とする外食チェーンです。

同一市場を競うもの同士ですが、明確なポジショニングを確立し、
差別化をすることで自社に適した強みを提供しています。
顧客に提供するベネフィットもまるで異なると言っても良いでしょう。

まず、両者のスピードについてみていきます。マクドナルドは、商品の注文があってからお会計、
そして商品を渡すまでの時間が非常にスピーディーです。
過去には60秒以内に商品を提供するキャンペーンも実施したほど。

一方で、モスバーガーは注文を受けてから調理を開始します。
そのため、商品を渡すまでの時間がかかります。
ある調査によると、モスバーガー1個つくるのに、7分以上かかったそうです。

また、価格についてもマクドナルドの場合には100円マックなど、
さまざまなリーズナブルな価格設定を打ち出してきました。
その一方で、モスバーガーの場合には、プレミアムな価格設定を打ち出しています。

このように、同じ業態でありながら両者はうまく差別化しており、それぞれに強みが存在します。

セグメンテーションとターゲティング

自社の差別化と強みを理解し、マーケティング戦略を練るわけですが、
それを評価してくれる顧客が探すというフローに移ります。
それが、セグメンテーションとターゲティングです。

具体的に、みていきましょう。セグメンテーションとは顧客を分けることです。
市場細分化とも言います。またターゲティングとは、分けられた顧客を絞ることを指します。

なぜ顧客を分ける必要があるのかというと、それぞれの顧客に応じてニーズが異なるからです。
前章の差別化と強みの部分でもお話ししましたが、
マクドナルドとモスバーガーでは、顧客をセグメンテーションしていることが分かります。

マクドナルドには、価格の安さやスピードの速さを求めた顧客が来店しますし、
モスバーガーに来店する顧客は、素材の良さや食の安全を求めています。
このように、それぞれどの顧客層に自社サービスを提供するかをセグメントするわけです。

さらに、セグメントした顧客に対して、自社の強みがもっとも発揮される顧客を絞りこみます。
顧客を絞りこむターゲティングをすることで、顧客への訴求率が上がりますし、競合にも打ち勝つことができるのです。

自社が市場を独占していれば、セグメンテーションとターゲティングは必要ありませんが、
多くの場合競合他社の存在があります。
その中で、市場で生き残るには、セグメンテーションとターゲティングでサービスや商品が届きやすい顧客を分けて、
絞りこむ必要があるのです。

セグメンテーションとターゲティングは常にセットで考えます。

マーケティング4P

自社商品やサービスを差別化し、セグメンテーション、ターゲティングするには、
具体的にマーケティング4Pという方法で模索する必要があります。

マーケティング4Pとは、マーケティングミックスに関与している要素です。
それぞれ「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(流通)」、
「Promotion(販売促進)」の頭文字をとって、4Pと言われています。

自社の強みを提供し、自社の強みを顧客に訴えられる4Pについて検討する必要があります。
4Pマーケティングの詳細については、
本記事「マーケティング基礎をおさえておくために必要な分析とは」でお届け致します。

マーケティング戦略の重要性

マーケティング戦略についてもその定義からみていきましょう。

マーケティング戦略とは、市場や顧客の動向を分析し、
自社が提供するサービスや商品をどのようにアプローチするのかを決定することを指します。
また、自社が提供するマーケティング戦略を決定する前には、市場分析はもちろんのこと、
自社の強みと弱みを詳細に分析する必要があります。

自社は、どの程度競争優位性があるのか理解しておく必要があります。

マーケティング戦略を重要視する背景要因

マーケティング戦略が重要視される背景には、
昨今のソーシャルネットワークの発展や、インターネットの普及が関係しています。

これまで、顧客が自社の商品やサービスを認知する機会は、
テレビや新聞、雑誌等のマスメディアが圧倒的に多い状況でした。
つまり顧客にとって、商品やサービスを知る機会は限定的だったわけです。

しかし、2006年頃から爆発的に利用されることとなる「スマートフォン」の普及により
広く一般の消費者にインターネットやソーシャルネットワークが普及しました。
タッチパネル式の小型デバイスと高速無線通信によって、
企業の商品やサービスに関して知る機会が増加したのです。

顧客が企業サービスや商品を知る機会が増えると、当然ながら市場活性化と細分化が始まります。
具体的には、広告やコンテンツのあり方が変化し、
これまでは活発でなかったインターネット広告などが普及しはじめ、
SNS利用したマーケティングの普及など、マーケティング市場にも変化を及ぼしたのです。

企業のサービスや商品に触れる機会が増加したことは、それだけを見ると顧客にとっては良いことです。
ただ、企業マーケティング戦略からみると、今まで以上に高いセグメンテーション(市場細分化)と
ターゲティング(顧客の選定)をしなければ、顧客に十分な訴求ができない状態となりました。

マーケティング戦略を生かすためには

顧客が企業と触れる機会が増加したことで、
セグメンテーションやターゲティングの必要性が増したという背景要因によって、
マーケティング戦略がいかに重要かということが理解できます。

逆に言えば、自社のサービスや商品に適合したマーケティング戦略を構築しなければ、
セグメントした顧客には届かないということを意味します。

さらに、マーケティング戦略の重要性はそれだけにとどまらず、
マーケティングリサーチによって獲得した情報をいかに活用できるかも企業マーケティングの課題となっています。

マーケティング戦略によって集まったデータを活用して、新規事業参入や事業徹底等の経営判断に役立ちます。
これら全て含めて「マーケティング戦略」なのです。

マーケティング戦略の4ステップとは

マーケティング戦略を立案する上で重要になる4つのステップについて解説していきます。
このステップを学ぶことで、自社におけるマーケティング戦略を組み立てやすくなります。

内部・外部環境分析

マーケティング戦略の第一歩は、顧客や市場を分析し、自社の強みを知ることです。
この内部・外部環境分析がまさにこれにあたり、
顧客Customer、弱みCompetitor、自社Companyの3項目を
分析する3C分析などさまざまな分析フレームワークを使用して行います。

なお、内部・外部環境を分析するためのフレームワークについては、
本記事の「マーケティング基礎をおさえるために必要な分析とは?」でお届けします。

対象とするターゲットを決定する

内部・外部環境分析を行なったら、次に誰をターゲットにするのかを決定します。

訴求するターゲットを決めるためには、年齢や趣味、過去の購買データ、
業種による傾向などさまざまな要因からデータを集め、どのように市場細分化を行うかを検討する必要があります。

セグメンテーションを誤ると、費用対効果が悪くなるばかりか、
経営を圧迫する可能性もありますので、最新の注意が必要です。

また、ターゲティングをする際も自社サービスの効果が最大限発揮されるターゲット選定を行う必要があります。
本記事では、ターゲティングについても詳細に触れておりますので、ぜひ参考にしてください。

どのような価値を提供できるか

セグメンテーションとターゲティングが決定した場合は、
次に想定する顧客に対してどのような価値を提供できるのか検討しましょう。
競合他社と比較をして、自社ができる価値提供とは何なのかを十分に検討することで、
顧客満足度を高めることができます。

自社サービスの優位性があるポジショニングを決定し、セールスポイントの策定や、
製品開発、差別化のポイントなどを選定していきましょう。

どのように価値提供をするか

自社のセールスポイントや、差別化できる強みを知ることができたら、
次に行うポイントはどのように価値提供をするかです。

どのように価値提供をするかを知るためには、
アメリカのマーケティング学者である「ジェローム・マッカーシー」が
1960年代に提唱したマーケティング4Pという理論や、
1990年代にアメリカの「ロバート・ラウターボーン」が提唱した4Cというフレームワークを利用すると良いでしょう。

これら4つのステップを利用して、マーケティング戦略を立てていきます。

マーケティング基礎をおさえるために必要な分析とは?

マーケティング戦略をどのように展開して良いのかわからない企業の場合、
マーケティングの基礎をおさえるために必要な分析手法を知る必要があります。

自社の商品やサービスを購入してもらうマーケティング戦略を行う前に、
まずは自社を取り巻く環境や現状の分析をしなければ、最適なマーケティング戦略は行えません。

情報収集の基盤が整っていれば、そのデータを元に分析のフォーマットに当てはめるだけで、
ターゲティングやセグメンテーションをしやすい状態となり、
的確にマーケティング戦略を展開できるため、分析手法は重要です。

ここでは、マーケティング戦略で代表的な分析手法を3つに絞りご紹介させて頂きます。
それぞれマーケティング戦略の参考にしてください。

3C分析

3C分析とは、外部環境や競合状況、自社分析(リソース、強み/弱み)などから
最適な戦略を導き出すことが可能な分析手法になります。
3C分析の3Cとは、以下単語の頭文字を指します。

・Customer市場・顧客
・Competitor競合
・Company自社

これら3つの観点から分析を行う方法が「3C分析」と言います。
3C分析を行うことで、事業の方向性やサービス・商品の選定をしやすくなります。
3C分析で得られた結果をもとに、商品やサービスをリリースすれば、
顧客に選ばれ売り上げやコンバージョン達成に貢献してくれるのです。

3C分析をより正確に行うには、それぞれ項目の以下を明確にし、分析に移行すると良いでしょう。

・Customer=市場や顧客のニーズの変化
・Competitor=競合他社がCustomer(市場や顧客)のニーズの変化にどう対応しているのか
・Company=自社の強み/弱み、リソース

これらの項目を明確にすることで、企業としてのマーケティング戦略における方向性がみえてきます。
それでは、実際に3C分析のやり方について、次章でご紹介します。

3C分析のやり方

それでは、3C分析のやり方についてお届けして参ります。それぞれ項目ごとの分析方法について参考にしてください。

<Customer市場・顧客の分析方法について>

3C分析でまずやらなければいけないことは、Customer(市場・顧客)の分析をすることです。
市場や顧客の動向を知ることで、トレンドやニーズを把握できます。

市場や顧客の分析を行うためには、PEST分析という手法を用いると良いでしょう。

【PEST分析】

PEST分析とは、自社の事業を取り巻く自社以外が起因となる外部環境が、
自社の将来にどのような影響を与えるのか予測できる手法になります。
PEST分析は、経営学者でマーケティングの第一人者の「フィリップ・コトラー」氏によって、提唱されました。

・Politics=政治的要因
・Economy=経済的要因
・Society=社会的要因
・Technology=技術的要因

PEST分析は上記項目の頭文字をとって、名付けられています。
さらに詳しくみていくと、それぞれの項目で分析する内容は以下の通りです。

Politics(政治的要因)

規制や市場の動向を変化させる要因を調査します。
法律や法改正、税制・減税・増税、政治動向、裁判制度、政治団体などがこれに該当します。

Economy(経済的要因)

景気や経済の成長率、価値連鎖に影響を与える要因を調査します。
景気動向、経済成長率、物価、為替・株価・金利・原油、消費動向などがこれに該当します。

Society(社会的要因)

人口動向の変化や需要構造に影響を与える要因について調査します。
人口動態・密度・構成、流行・世論、世帯、宗教・教育・言語、老齢人口・少子化などがこれに該当します。

Technology(技術的要因)

ITなど、競争ステージに影響を与える要因について調査します。
インフラ、IT活用、イノベーション、特許、新技術・技術開発などがこれに該当します。

このように、社会的な要因は自社努力だけでは、どうにもできません。
業界の動向をPEST分析でしっかりと見つめ、自社と顧客との利益追求をしていく必要があります。
自社の可能性を追求していきましょう。

<Competitor競合の分析方法>

続いては、競合の分析方法です。競合の分析で目的にするべき地点は、
競合市場が変化に対してどのように対応しているかを知ることが重要となります。
競合市場が市場の変化をキャッチし、どのように対応したかを把握するためには、
次の2つの要素を分析すると良いでしょう。

・競合企業の結果
・競合企業が結果を出した理由

競合企業の結果とは、市場の変化に対応したことで、どのような結果を出したのかを調査するということです。
たとえば、売り上げや利益率はもちろんのこと、広告費、販売管理費に至るまで、調査します。

このような項目を調査することで、売り上げを向上させる背景要因にたどりつけるのです。

競合企業が結果を出した理由とは、結果に基づき、どのような施策を売ったのかを調査することを指します。

たとえば、リソース効率や、製品開発、営業手法などです。
このように、市場競争を勝ち抜くための理由を知ることが
自社で差別化できるポイントはないかなどより多くの仮説を立てることにつながるのです。

<Company自社の分析方法>

ここまで行ってきた市場分析や競合分析を踏まえて、
自社ではどのようなマーケティング戦略が適しているのか検討します。
検討の際は、自社と市場や競合が、どのように変化に対して対応しているのか比較することで、
自社の戦略が浮かび上がってくるのです。

なお、自社と市場や競合との比較に活用できるのが「VRIO分析」になります。

VRIO分析とは、自社の経営資源を
「価値(Value)」、「希少性(Rarity)」、「模倣可能性(Inimitability)、「組織(Organization)」
という4つの視点から評価することを指します。

こちらのVRIO分析をすることによって、自社の強みは一体どこにあるのか、
さらには自社における競争優位性を見極めることが可能です。ぜひ自社分析には、VRIO分析も参考にしてください。

SWOT分析

マーケティング戦略を検討する上では、「SWOT分析」も重要です。
SWOT分析とは、経営戦略の分析に、度々使用されるビジネスフレームワークの1つで、
自社における内部環境と、外部環境の分析を統合して行うことが可能な分析方法となっています。

SWOT分析は、
「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」
の4つの概念の頭文字から成り立っています。

SWOT分析の「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」については、
自社企業努力で調整できる内部要因と言われています。

それに対して、「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」については、
政治経済の動向や、社会動向、さらには技術動向など自社の企業努力で変えようもない外部要因です。

Strength(強み)では、自社における技術力や強みについて、より詳細に分析します。
顧客が自社のサービスや商品をなぜ利用してくれるのかを再検討してみましょう。

Weakness(弱み)では、自社が持っている弱みや苦手とすることについて詳細に分析します。
たとえば、競合他社と比較をして、予算が少ない、リソースが割けていないなどです。
自社の弱みを抽出することで、マーケティング戦略の組み立てに役に立ちます。

Opportunity(機会)では、自社から見て、ビジネスチャンスになり得る環境の変化や、
市場の動向は一体どのような要因があるかについて詳細に分析します。
詳細なデータを集めて、自社のチャンスになる可能性のあるものについてピックアップしましょう。

Threat(脅威)では、自社の商品やサービスの強みを打ち出したとしても、
競合他社に圧倒されてしまう要因はあるかどうかを徹底的に分析します。
自社ビジネスの脅威を事前に把握することで、競争を避けることもできますし、
逆にビジネスチャンスになり得るポイントも把握できます。

SWOT分析を実際に行う際には、その場の雰囲気や思いつきで項目を埋めることがないように、
各ビジネスフレームワークを用いて、項目に記入することが重要です。

SWOT分析に取り入れることができるビジネスフレームワークは、
PEST分析・5F分析、PLCなどのフレームワークが有名です。
こちらも合わせて参考にしてください。

STP分析

マーケティング戦略を検討する上では、「STP分析」も重要な要素の1つです。

STP分析とは、「Segmentation(市場細分化)」、「Targeting(標的市場の決定)」、
Positioning(自社の立ち位置の明確化)これら3つの頭文字からとった分析方法のことを指します。

マーケティング論における第一人者である「フィリップ・コトラー」氏によって
提唱されたマーケティングフレームワークとなります。
マーケティングにおける基本的なフレームワークであり、マーケティングの基礎を学ぶ上では、
必ず知っておくべき手法ですので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

それでは、STP分析の方法についてその基本をおさえましょう。

市場を細分化する「セグメンテーション」

最適なSTP分析を行うには、「セグメンテーション」をしっかり行う必要があります。
セグメンテーションとは、市場細分化のことで、
自社のサービスや商品のニーズに類似している顧客を分類することに目的をおいています。

セグメンテーションを行うときは、下記の4つの条件の中から市場細分化をすることで、
より本来の顧客のニーズを見つけることが可能となります。

①地理的変数

地理的変数とは、顧客を「地理」という変数で、細分化する方法です。
たとえば、国、地域、都市の規模、経済発展・進展度、人口、気候、
文化・生活習慣、宗教、政策などがこれにあたります。

地理的変数は、小売、飲食業界などエリアマーケティングを行う上で
重要な要素を占めており、たびたび使用されます。

主なセグメンテーションとしては、コンビニ業界がよく知られているところでしょう。
コンビニ業界は店舗の地域性を踏まえてオフィス街と住宅街のカテゴリーに分けて、品揃えを変えています。

②人口動態変数

人口動態変数とは、顧客や家庭の属性を中心に構成するセグメンテーション方法です。
たとえば、年齢、性別、職業、所得、学歴、家族構成などがこれに該当します。

年齢は、何歳くらいか対象となるか、性別は女性か男性か、子供はいるのかいいないのか、
年収はどのくらいかなど、家庭の属性を検討することで、今後の自社サービスの展開などに活用可能です。

③心理的変数

心理的変数とは、顧客の心理や価値観、さらにはライフスタイルを中心に構成するセグメンテーションです。
たとえば、価値観、趣向、ライフスタイル、心理的特徴がこれに該当します。

ライフスタイルは、アウトドア派かインドア派か、仕事を重視する人か、
さらには趣味を重視しているのかなど考慮して自社のサービスや商品展開に反映させます。

④行動変数

行動変数とは、顧客が商品を利用する頻度や購入回数などを中心に構成するセグメンテーションです。
たとえば、購入曜日、時間、購買状況、ルート、頻度などがこれに該当します。

行動変数を用いて、顧客がほとんどサービスを利用しない「ノンユーザー」なのか
サービスをたまに利用する「ライトユーザー」なのか、
さらにはサービスを頻繁に利用する「ヘビーユーザー」なのかセグメントすることで、
それぞれの層に見合ったサービスを展開できます。

セグメンテーションをするときには、この4つの項目に基づいて市場細分化をすると、
顧客のニーズを探すことができるでしょう。
セグメンテーションについては、マーケティングの基礎になる部分ですので、使いこなせるようにしましょう。

セグメンテーションを参考に行う「ターゲティング」

ターゲティングでは、市場細分化された情報を元に評価し、どの顧客層にアプローチしたら良いのかを決定します。
ターゲティングするためには、ターゲティングのパターンを知る必要があります。

自社を取り巻く状況にあわせて、以下の5つのターゲティングパターンの中から選択しましょう。

①単一市場の集中化

市場細分化をしたときに、
より自社サービスや商品が届きやすい単一市場に一点集中してサービスや商品を投下するパターンになります。
単一市場に集中することのメリットとしては、予算を最低限におさえることができ、
経営資源が乏しくでも最適なマーケティング戦略を開始できるという点です。

1つの市場に特化しているため、
予算を大きく投じることができない中小企業や零細企業でも積極的に参入できますし、
自社よりも企業規模が大きい競合に対しても、特化した分野で優位にマーケティングをすすめることも可能です。

たとえば、最近話題となった東京・千駄ヶ谷にある白Tシャツ専門店「#FFFFFFT(シロティ)」は、
白のTシャツのみを扱う世界初の白T専門店です。

白Tシャツのみを扱うブランドとして、ほかのセレクトショップやアパレルブランドにはない独自性を確立しています。
形状や着心地の異なるさまざまな白Tシャツが揃い、白Tシャツファンを虜にし、連日多くの人が来店しています。

中小企業や零細企業であっても、単一市場に集中化することで、活路を見出す方法もございます。

②複数市場に複数商品(選択的特化)

ターゲティングパターンの2つ目が、複数市場に複数商品です。
これは、複数のブランドを持っている企業であれば、
複数市場に複数の商品やサービスを投下することが可能です。

このターゲティングは、選択的特化ともいい、
セグメンテーションに基づき効果的なターゲティングを行える複数の市場をピックアップします。

たとえば、20代男性受けには、ボトムスの新商品を、
20代女性向けには、この秋リリースする新デザインのTシャツをという形で、
セグメンテーションから導き出される複数の市場へ自社商品を効率良く投下できます。

複数の商品やサービス、ブランドを持っている企業については選択的特化が有効になる場合があります。

③一市場に複数商品(特定市場への集中化)

②が複数市場へ複数商品を投下したことに対して、次にご紹介するターゲティングパターンは、
一市場に複数商品を投下する方法です。

たとえば、20代男性向けにボトムスの新商品を投下するだけでなく、
セグメンテーションから複数の商品を投下する必要があると判断した場合には、
ボトムス以外にもコンセプトに関連したTシャツや、ジャケットなども同時に投下します。

それにより、20代顧客は、ボトムスに関連したジャケットなども購買意欲が高まり、
購買につながるというパターンです。
このパターンは、特定市場の集中化ともいい、可能性がある市場へ複数のサービスや商品を投下することで、
より購買意欲と高める狙いがあります。

複数の商品を販売している企業や、複数のサービスを運営している企業に有利に働く方法です。

④複数市場に一製品(特定商品への集中化)

続いてのターゲティングパターンですが、複数の市場に一つの製品を投下するパターンです。
このターゲティングパターンは、ブランド認知度が高く、
商品やサービスが確立しているものに効果を発揮するターゲティングです。

複数市場に確立された商品やサービスを一製品投下するため、幅広い層で購買意欲が高まり、
その製品を要として、次のブランド展開なども模索できます。
自社ブランドや商品の認知度なども十分に検討した上で、ターゲティングをしていきましょう。

⑤全商品を全市場(フルカバレッジ戦略)

続いてのターゲティングパターンですが、全商品を全市場に投下する方法です。
これはフルカバレッジ戦略ともいいます。前提として、全ての市場に全商品を投下するため、
経営資源が豊富な大企業などが行えるパターンともいえます。

たとえば、百貨店やデパートがこれにあたり、
さまざまな顧客に対してそれぞれのニーズを満たす商品やサービスを投下しています。
経営資源を活用した方法ですので、実施できる企業とそうでない企業が大幅に分かれますが、
規模の大きい販促活動をする上では、有効です。

このように、ターゲティングには主に5つのパターンが存在します。
それぞれの特徴を踏まえ、経営資源も十分考慮し、対策を講じてみてください。

競合他社と差別化を行う「ポジショニング」

セグメンテーションとターゲティングが決定した場合に、
次に行うことはSTP分析の最終段階である「ポジショニング」です。
ポジショニングの定義とは以下のようになっています。

ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品について独自のポジションを築き、
ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動。
顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらうことで、
競合製品に対して優位に立つことを目的にしている。

引用元:MBA用語集|グロービス経営大学院
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11994.html

このように、ポジショニングとは、ターゲティングした顧客の中で、
自社の独自ポジションを築くこと、そしてユニークな差別化を図る活動のことです。

自社と競合他社を差別化するポジショニングをするためには、以下の6項目に着目して行うと良いでしょう。

①特定の製品属性

自社における商品やサービスの品質や素材が、競合他社と差別化できる要素を調査する。
たとえば、ハンバーガーチェーンを参考にすると、マクドナルドは安くて美味しいに対して、
モスバーガーは品質の良さ、安全性、高級感を売りにしています。

どちらもポジショニングがしっかりしており、競合でありながら、うまく激しい競争を避けています。

②提供するベネフィット

自社が提供する製品やサービスが、満たされるニーズ、メリットのことを言います。
たとえば、Apple社であれば「デザイン性の高さ」です。
スターバックスでいえば、「サードプレイス構想」といい、
家でも職場でもない第三の場所を提供することをコンセプトにおいています。

自社が満たされるニーズはどこにあるのかを調査することで、自社の強みを打ち出していきましょう。

③製品が使用される機会

自社が提供する製品やサービスが使用される機会を考えることで、自社のポジションニングを確立できます。
自社の製品やサービスが、使用される機会とは、
たとえば肌に優しいシャンプーであれば、敏感肌のお子さんや肌荒れの気になる方かもしれません。

洗浄力の強いシャンプーであれば、油肌が気になる男性かもしれませんよね。
このように、自社製品やサービスが使用される機会を詳細に考えられると、最適なポジショニングが確立されます。

④競合製品との関係

自社の商品やサービスと競合製品との関係は、どのような位置関係にあるのかを検討しましょう。
自社にあって他社にないものは何か、または自社になくて他社にあるものは何かを抽出することで、
競合製品との関係性が見えてきます。

たとえば、自社が最短2日間で名刺デザインをスピード納品する企業だとします。
それと比較し、他社は同じ名刺デザインですが納品に7日間かかるとします。
この関係性を見れば「最短2日間でスピード納品」するという自社のポジションが確立されるわけです。

このように自社と競合他社との関係性を製品関係からポジショニングをしていくことも手法の1つです。

⑤競合製品との距離

自社製品と競合との関係を見て、どの程度の距離があるのかリサーチすることで、
自社のポジショニングが確立されます。
たとえば、炭酸飲料水の「セブンアップ」は、「コーラではない飲み物」として、競合製品との距離をとってきました。

コカコーラとは別の味わいで、すっきりとした味わいが特徴です。
このように、自社製品が競合製品とどのような立ち位置にあるのか明確にする必要があります。

⑥製品の種類

自社製品の種類は、どのような種類があるのかについて把握し、分析することも重要です。
自社商品の種類の中で、よりポジションを確立できる商品やサービスはないかどうか調査しましょう。

このように、ポジショニングの6項目を意識してマーケティング戦略を組み立ててみましょう。

マーケティング4P

マーケティング戦略においては、マーケティング4P分析を活用することもより良い手法の1つです。
マーケティング4P分析とは、マーケティングの立案、
実行プロセスの1つであるマーケティングミックスに関与している要素です。

それぞれ「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(流通)」、「Promotion(販売促進)」の頭文字をとって、
4Pと言われています。

では、4つの項目が示す内容について具体的にみていきます。

Product(製品)

企業利益を生み出す製品のことを指します。品質、デザイン・ブランド名、
パッケージ、サービス、保証までを製品としています。
これらの製品によって、どのように顧客ニーズを満たしたら良いのか、
顧客に対して提供できる価値は何なのかを検討しておきましょう。

Price(価格)

自社商品やサービスを市場で販売する上での価格になります。
価格を設定する上で重要なことはターゲット層に見合った価格かどうか、
その価格にて顧客は購入してくれるだろうかという点です。

自社商品やサービスの価値と整合性があるかどうかも含めて、商品・サービス価格を決定してください。
また適正な利益が得られる価格かどうかも含めて検証する必要があります。

Place(流通)

自社商品やサービスを市場に流通させるための経路や販売場所などが流通に含まれます。
自社店舗のみならず、流通経路にはコンビニや百貨店、
小売店などがありどの程度自社商品やサービスを流通させるのかを判断します。

立地条件や店舗数なども考慮し、選定していきましょう。
また、インターネットでの販売促進も近年では積極的に取り入れられていますので、
受注から販売までを全てオンラインで行うことも視野に入れる必要があります。

重要なことは、セグメンテーションしたターゲット層に確実に自社商品やサービスを届けるためには、
どの流通形態が妥当なのかをしっかりと検証することです。

Promotion(販売促進)

自社製品やサービスの顧客ニーズや、価格の設定、さらには流通経路について検証したら、
最後に辿りつくのは販売促進になります。自社製品やサービスをいかに顧客に認知してもらうのかを検証します。

自社商品やサービスに自信があっても、顧客から認知されなければ意味がありません。
販売促進の方法には、CMや雑誌などマスメディアを活用したものや、
ハガキなどのダイレクトメールを活用したもの、インターネット広告を活用したものなどさまざまです。

自社商品のコンセプトや認知度アップに貢献してくれる販売促進方法を検証してください。

マーケティング最新事例

ここからは、マーケティングにおける最新事例をご紹介致します。
一見、顧客ニーズが減少している分野でも、ポジショニングの方法を再設定するなど、
マーケティング戦略を見直すことで、自社の利益向上につなげた例もあります。

事例①株式会社スタジオアリス「ポジショニングの再設定」

株式会社スタジオアリスは、「フォトスタジオ」として成功をおさめている会社の1つです。
しかし、もともとは商業写真事業や写真現像のDPE店として経営をしておりました。

1992年にこども写真に特化した写真館に舵を切り、急速に全国的にも店舗数を増やしました。
また、少子化時代においてもこどもと家族が記念写真を撮影できる写真館として、時代のニーズを満たしています。

そんな株式会社スタジオアリスですが、現在の店舗数は500店に拡大し、
こども写真だけでなく、マタニティママと1歳までのお子様を対象とした赤ちゃん写真館をオープンさせるなど、
新たな店舗も増加し、企業としても右肩上がりの成長を続けています。

 

<株式会社スタジオアリスのSTP分析例>

総務省統計局による平成28年経済センサス活動調査によると、
写真業を営む事業所数は、1991年には全国に19,604軒もあったものの、
調査時点では9,420軒に減少しています。

写真業全体でいえば、少子化の影響もあり、縮小傾向にあることがわかります。
しかし、株式会社スタジオアリスでは店舗数を年々拡大しています。
事業拡大の背景にあるものはSTP分析によって、セグメントした内容をもとに、
自社のポジショニングを変更したことにありました。

具体的には、これまでこども写真館の役割は、
結婚や出産などのライフイベントを中心に顧客の利用率が高かったのですが、
少子化と共にそのニーズも縮小。

これを受け、ライフイベントに限らずにこどもを持つ親や祖父母をターゲットに変更し、
こどもの成長の節目で記念写真をする写真館として自社のポジショニングを変更しました。

その背景には、正確なセグメンテーションがあってのことです。

また、「マーケティングミックス」を活用し、写真館が顧客に提供する記念写真以外にも、
写真を撮るプロセスの中で、さまざまな色やデザインの衣装を用意し、
従来は自分で晴れ着を用意しなければいけなかった記念写真のハードルを下げました。

さらに、写真撮影のシステムも女性スタッフがぬいぐるみを用意して、
こどもの機嫌をとりながら、一度に複数枚の写真を撮影することで、
お好きな写真を顧客が選べるという画期的なものに変更したのです。
従来の写真館では実現できなかった衣装を選べる楽しみや、
気に入った写真をチョイスできる新しい価値を提供しました。

さらに、スタジオアリスは徹底した流通チャネル戦略も行いました。
具体的には、ショッピングモール等の大型商業施設に店舗を出店し、
店舗デザインも状況に合わせて明るいイメージに変更。

また、若い女性スタッフを多く配置し、店内が見える位置にぬいぐるみをおくことで、
小さなお子様連れが入店しやすいようにしています。
それ以外にも、写真撮影の予約などをウェブ上から気軽に行えるようになりました。

撮影に訪れた顧客には、次回の撮影無料券や優待券を配布することで、
リピート率を維持する施策も実施しています。

このほかにも、顧客向けのウェブサービスとして、
「アリスeスマイル」では、撮影した写真のオンライン注文やデジタルカメラの画像保存、
プリントの受付など写真をプリントアウトしてからでも利用できるサービスを多く用意しています。

<スタジオアリスのマーケティング戦略について>

株式会社スタジオアリスでは、これまでの写真館とは全く違い、
明確なポジショニングとターゲット層を、こどもだけでなく、
その親や祖父母世代まで幅広く選定したことで、家族で気軽に写真撮影をする機会が増えました。

既存顧客に関しても、リピート率を上げるため、
クーポンの配布やダイレクトマーケティングをライフイベントなど節目で写真撮影を推奨したり、
オウンドメディアなどでの情報発信など積極的に顧客との接点を設けています。

事例②株式会社良品計画「3つのコンセプトに基づくマーケティング戦略」

株式会社良品計画といえば、無印です。
無印では、3つのコンセプトに基づいた徹底したマーケティング戦略を立てています。
無印良品は、1980年代の発足時から、合理性を重視する顧客を対象としたシンプル、
スマートなライフスタイルを提案してきました。

では、シンプルなライフスタイルを提案するために、
どのようなマーケティング戦略を立てているのか具体的にみていきましょう。

 

<無印良品の徹底したマーケティング4P>

無印良品では、徹底したマーケティング4Pを実践しています。
合理性が高く、シンプルなものづくりのために、
どのようなマーケティング4Pを実践しているのかみていきます。

①Product(製品)

無印良品の取り扱う製品は、発足当初から一貫しています。
素材の選択・工程の点検・包装の簡略化の3つをコンセプトにしているのです。
これまでは、品質は変わらないにも関わらず、捨てられていた素材を選択に含めることで、
顧客のニーズに合わせた商品開発を行えるようにしています。

また、工程の点検では、商品の質に関係ない作業を見直し、
必要のない作業は省くことで、効率の良い商品開発を進めています。
さらに、包装の簡略化では資源を無駄にしないよう環境に優しいものづくりの視点から、
シンプルなライフスタイルに合致する包装を行っているのです。

このように、無印良品ではシンプルなライフスタイルに合致した製品開発を行っています。
また、これらのコンセプト実現にあたり、
社内だけでなく、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアも活用し、
顧客に対して、製品の不満や意見、アイデアなどを募り、
顧客からの投票をもとに商品開発をすすめるなど、
顧客と共に商品開発を行うという仕組みも構築しています。

②Price(価格)

素材の品質や、シンプルで無駄のない使い心地にこだわる無印良品ですが、
価格戦略についても、不必要な工程を削除したり、
素材の無駄を少なくしたりと素材の品質はそのままに、
大変リーズナブルな価格を設定しています。

無印良品の場合には、あくまでもコンセプトを重視し、
結果として価格優位性が保たれているといえそうです。
どちらかというと、価格戦略よりも製品戦略や、流通チャネル、
プロモーション戦略に重きをおいています。

③Place(流通)

無印良品の流通チャネル戦略は、直営店だけでなく、フランチャイズ展開、
さらにはファミリーマートのようにコンビニなども含めてさまざまなチャネルを備えています。

ネットショッピングなどを通じて、期間限定商品や切れ端、
不揃い品なども無駄なく販売していることも特徴の1つです。

④Promotion(販売促進)

無印良品は、販売促進にも力を入れています。
①でお伝えした製品の3つのコンセプトをもとに高いブランド力を顧客に訴求できるほか、
ブランドコンセプトが明確だからこそ、自社のポジショニングにも貢献しています。

そのほかにも、オウンドメディアである「くらしの良品研究所」などで、
良いものづくりを目指して顧客の生の声を聞いたり、
商品開発の様子を公開したりと顧客とのコミュニケーションづくりを行っています。

当然ながら、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用し、
暮らしやシンプルなライフスタイルの発信、身近なテーマについてなど多くのチャネルを設けています。

これらのチャネルを通じて、顧客は無印良品のブランドについてより一層認知し、
ライフスタイルの想像をできるわけです。

また、2013年5月には「MUJI passport」というアプリをリリースしました。
MUJI passportは、新しいお買い物体験を顧客に提供するため、
さらなる顧客のリピート率の向上のために、非常に重要な役割を担っています。

たとえば、MUJI passportを利用すれば
無印のお店でのショッピング時やチェックインでMUJIマイルが貯まる仕組みとなっており、
MUJIマイル数に応じて、ステージが決定し、
MUJIショッピングポイントや豪華なプレゼントがもらえるというものです。

それだけでなく、MUJI passportを利用するとMUJI passport IDと会員情報がつながり、
MUJI マイルの合算も可能という便利機能までついています。

誕生日にプレゼントがもらえたり、
ご優待クーポンがプレゼントされたりと特典が豊富で多くのリピーターを生んでいます。

このように、無印良品では自社製品の販促活動として、多数の流通チャネルを持ち、
プロモーションにつなげていることがわかります。

<無印良品のマーケティング戦略について>

無印良品は、徹底した商品コンセプトのもと、
ブランド認知のためのターゲティングやポジショニングを行っていることがわかります。

また、プロモーション戦略においても、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、
自社オウンドメディアを活用しビックデータから、顧客情報を分析し、
顧客満足度やブランドロイヤリティーの向上につなげています。

特徴的であったのは、無印良品の製品開発は、
顧客とのコミュニケーションで進められ、開発や価格の妥当性の裏付けをとっています。
このような顧客とのやりとりの中で、自社のブランドロイヤリティーを高めているのです。

マーケティングミックスの不整合を防ぐために、
オウンドメディアやソーシャルメディアを活用し、
常に顧客のニーズを反映できる仕組みを構築しています。

無印良品は、シンプルなライフスタイルを好む顧客にターゲティングをした上で、
その顧客の心を確実につかめるようにマーケティング4Pを行っていることがわかります。

無印良品のマーケティング戦略もぜひ、自社マーケティングに活用してみてください。

マーケティング理論を勉強するために最適なマーケティング入門書

ここでは、マーケティング理論を勉強するために最適なマーケティング入門書をご紹介致します。
こちらも合わせて参考にしてください。

①マーケティング初心者向き「ドリルを売るには穴を売れ」

マーケティング初心者向けにおすすめの本が「ドリルを売るには穴を売れ」です。
こちらの本は、「マーケティング脳とは何か?」というマーケティングが
はじめてという方でもすぐに馴染める本となっています。

参考元:Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4413036239

②マーケティングの本質を実例から学べる「コトラーのマーケティング・コンセプト」

現代マーケティングの父と言われている「フィリップ・コトラー」のマーケティング論において、
必須となる基本用語や概念を学べます。また、実例も掲載されているので、非常にわかりやすいです。

参考元:Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4492554769

③ポジショニングを学ぶなら「ポジショニング戦略」

マーケティング戦略の中でも、ポジショニングを学びたいという方のために、
おすすめなのがポジショニング戦略となります。
発売から年数が経過しても、売れ続けるベストセラーになります。

参考元:Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4903212076

④事例からより実践的に学ぶなら「マーケティング思考法-考えて行動するための実践的手引書」

マーケティング戦略について、ある程度知識があるけれど、
実際に実例に落とし込むのは苦手という方には、こちらの本がおすすめ。
多くの事例を通して、マーケティグ担当者であればどうするべきかを学べることが特徴です。

参考元:Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B071FJLY5W

⑤最新マーケティングについて知りたいなら「最新マーケティングの教科書2018」

こちらの本は、デジタルマーケティングでのマーケティングのあり方や
「デジタルトランスフォーメーション」、「チャットボット」、
「インフルエンサーマーケティング」など日々進化する最新マーケティングについて知ることができます。
最新のマーケティング動向について把握したい方にはおすすめ。

参考元:Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4822257657

まとめ

マーケティングは、主に4つのステップからマーケティング戦略を立てることができ、
そしてその中でもさまざまなマーケティングフレームワークが存在します。

まずは、マーケティングの基礎である「ベネフィット」、「差別化と強み」、
「セグメンテーションとターゲティング」、さらには「マーケティング4P」という基本をおさえましょう。

最初から自社に照らしわせるのが難しい場合には、
本記事でご紹介したマーケティングにおけるおすすめの参考書なども活用し、
自社に適合したマーケティング戦略を決定してください。

 

Relation関連記事

More articlesその他の記事