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ABテストとは?テスト方法と期間、メリット・デメリットについて解説。無料のABテストツールも紹介

#広告コラム

最終更新日:2021年07月10日

<はじめに>

広告効果を高める手法の1つである「ABテスト」について、
広告を取り扱う企業であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ここでは、「ABテスト」におけるメリット・デメリットのみでなく、
ABテストの方法についてテストする箇所、順番、テスト期間について解説しております。
ネットで行う場合には、
無料で活用できるABテストツールも紹介しておりますので、
ABテストを行う際にご参照くださいませ。

ABテストとは?

「ABテスト」とは、広告手法の1つで、広告紙面、チラシ、Webページなどの1部分、
またはページそのものをAパターンと、Bパターンに分けて準備し、両パターンにユーザーを振り分けます。

それぞれパターンには、見出しのテキスト、文字の大きさ、メインビジュアル、
ボタン色、コンテンツ内容等を変更したパターンを用意します。

そして、ユーザーの反応を見て、どちらのクリエイティブパターンの方が、CPAR/CPAが高いのか、
Webマーケティングの場合、CTR(Click Through Rate)が高いのか、
CVR(Conversion Rate)が高いのかを分析し検証することを指します。

これにより、最終的には売上に貢献する狙いがあります。

<ABテストイメージ図:例:Webマーケティング>

上記の図は、AパターンとBパターンという2つのパターンしか用意されていませんが
実際には3パターン、4パターンと用意してテストを繰り返し行います。

このように、複数の仮説を検証し、マーケティング対策に落とし込み、
その結果を比較検討することをABテストと言います。

ABテストは難しくない

ABテストを初めて行う場合には、とても難しいのではないかと想像しがちです。
それは多くの場合、テストを行う場所がどこかわからないという理由によるもので、
実はそこまで難しいものではありません。

なぜなら、1カ所だけ変更して簡単に比較テストすることができるからです。
具体的には、「見出しテキスト」や「文字の大きさ」「メインビジュアル」などからABテストを実施してみると良いでしょう。

これだけのテストでも、大きな訴求効果を生み、売り上げへ貢献してくれる場合もあります。

1つのクリエイティブに対して、各ページが1箇所ずつテストを実施し、その効果を検証します。
つまり3項目のテストを実施したい場合には、合計で4ページが必要ということです。

複数のABテストを同時に実施するにはコントロールグループが必要

ABテストでいくつものパターンを用意し、比較検討する場合「多変量テスト」という手法も用いる必要があります。
多変量テストとは、複数の変数を用意して、同時に比較検討する手法のことです。

多変量テストはABテストと概念が似ていますが、
多変量テストの方がより多くの変数を比較し、それらの有効性を検証できます。
広告文3パターン、メインビジュアル3パターン、
背景色3パターンという具合で複数の変数を用いることが可能です。

多変量テストを行うと、2パターンABテストでは拾いきれなかった効果を高める要因を把握することも可能に。

また、テストする変数が多くなればなるほど、
有効性を確認するのに時間を要し、コントロールグループという概念が必要になります。

コントロールグループ、基準を決めてテストを繰り返していかなければ、
どの箇所の何が良かったのか悪かったのかが分からず、テストの結果を検証することができません。

これはABテストでも同様で、複数のテストを行う場合には、
基準となるコントロールグループを明確にし、その統制下でテストを実施しましょう。

ABテストはなぜ実施するのか

ABテストの実施目的は、CPR/CPA、CPOの向上による、売上アップや費用対効果を高めるためです。
Webマーケティングの場合は、CVR(コンバージョン率)とCTR(クリック率)の向上に重きを置きます。

たとえば、広告費を増大させたとします。

一見、費用をかければかけるほど自社の訴求力が高まり、
売り上げに貢献してくれるだろうと感じるかもしれませんが、
実際には最適なクリエイティブでないとユーザーは行動には移しません。

ABテストを一定期間繰り返し、その中で最適なクリエイティブを導き出すことで、
広告効果を最大限に発揮できます。つまり、ABテストの実施はそれだけ費用対効果を高めることができるのです。

成果報酬型の広告であれば、維持費などのコストはほとんどかかりませんが、
固定費で広告料を支払っている場合には、
クリエイティブが最適化されていない場合の損失は極めて大きく、広告費用が無駄になります。

ABテストの目的を理解し、メリット・デメリットについても整理していきましょう。

ABテストのメリットとデメリットとは

ここでは、ABテストを実施していくにあたり、そのメリットとデメリットについてご紹介させて頂きます。
メリットだけでなく、デメリットについても理解することで、より精度の高いABテストを実施しましょう。

ABテストのメリット

ABテストの主要メリットは、以下の通りです。

・ABテストを実地するにあたり、コストを最小限に抑えられる
・実作業の工数がかからない
・効果測定も数値で認識でき、効果の度合いを図れる

Webサイトのリニューアル、チラシ・広告誌面の前面差し替えなど大規模な改善には、多くのコストがかかります。
しかし、それら予算がない企業にとってはABテストで、小さな改善から取り組むことで、
コストを最小限に抑えつつ、CPR/CPOの改善や、費用対効果の最適化を行えます。

現在ではWebマーケティングの場合、
ABテスト実施ツールもさまざまなものが登場しており、中には無料ツールも存在します。
ツールにかける費用も抑えることが可能なため、比較的ローコストでWebプロモーション施策を実行できるのです。

また、実作業の工数がかからないのも大きなメリットになるでしょう。
チラシの全面変更、サイトリニューアルであれば、コストだけでなく工数も増大します。

しかし、ABテストであれば「見出しテキスト」や「文字の大きさ変更」など、
軽微な作業だが効果のインパクトが大きい項目のテストを実施するため、
工数が抑えられ、少しずつクリエイティブを最適化できます。

作業にかかる人件費も最小限で済むため、比較的継続性のあるWebサイト改善方法ともいえます。
さらに、ABテストでは検証による効果についても数値を確認しながら実施できるため、
効果を判定しやすいというメリットも存在します。

ABテストのデメリット

ABテストにおける主なデメリットについては以下の通りです。
・ABテストの効果を検証するためには一定のアクセスが必要となる
・PDCAサイクルを常に回し続け検証を継続する必要がある

ABテストのデメリットについてですが、ABテストにおいて正確に効果を検証するためには、
チラシ・広告誌面の場合、一定数の方が閲覧しないといけません。
チラシ広告の場合、3~5万部は必要となります。Webサイトの場合、訪問者が一定以上存在しないといけません。
例えば、コンバージョンページであれば、最低でもA・Bパターンに対して、
訪問者が100以上、サイトPV数が2,000以上は必要となります。

それ以下の数値ですと、効果の検証に時間がかかる上に、十分な検証結果を得ることができません。
さらに、ABテストでは常にクリエイティブを最適化するために、PDCAサイクルを回す必要があります。

その時々で、ユーザーの動向や趣向も移り変わるためです。
予算はかからないものの、日頃からデータを計測し、検証し続けるリソースが必要です。
ぜひ、これらのデメリットについても意識して、ABテストの導入を検討してみてください。

ABテスト方法(テストすべき箇所と順番)

ここでは、ABテストを実施するにあたりテストすべき箇所と順番について、その詳細をご紹介させて頂きます。
ABテストを行う際は、見出しテキスト・文字の大きさ、オファー周辺のテキスト・文字の大きさ、
メインビジュアルなど、変更作業がしやすい箇所だが
効果のインパクトが大きい項目から実施することがポイントです。

1番目「キャッチコピー」

Webサイトにおけるキャッチコピーは、ランディングページ等において最も目のとまりやすい場所になります。

キャッチコピーテストのコツは、簡潔で誰が見てもわかりやすく、目立つ配色にする、
フォントの大きさや種類にこだわるなど工夫する点が多岐にわたります。

キャッチコピーを変更するだけでも、コンバージョン率やその結果に大きな結果を与える可能性もあるのです。

キャッチコピーのテストを行う際は、ユーザーの動向も調査し、仮説を立ててから行うようにしましょう。

たとえば、女性利用者を対象としたオーガニックティーのランディングページにおいて、
20代後半〜30代での利用率が高いのであれば、
出産や育児などライフイベントと重なった女性が多いと仮説を立て、
キャッチコピーに「育児」や「妊活」、「応援」などのワードを配置するなどです。

このように、仮説をもとにテストパターンを作成し、ABテストを実施すると、サイト改善の際にも役に立ちます。

またキャッチコピーはトップページやランディングページの最も目立つところに配置される確率が高いですから、
ユーザーの離脱率や回遊率に直結する要素です。

同時に、コンバージョンページに辿りつくまでの入り口でもあり、最初にキャスコピーのテストを行うと良いでしょう。

2番目「オファー」

Webサイトの主要ページであるトップページやランディングページに
訪問したユーザーが直帰してしまう場合に表示させる「オファー」についても見直しをかけておきましょう。

というのも、オファー表示を設けることで直帰しようとしたユーザーの離脱を阻止することが可能です。
このオファー表示には、おすすめの商品やお問い合わせボタンなどを配置するわけですが、
そのレスポンス・ディバイスの文言や配色などをABテストで、テストパターンを作成し、検証しましょう。

オファー表示の文言を変更したり、ボタンサイズを変更するだけでも、
2〜3%のコンバージョンアップにつながる事例もあるほどです。

そのほかにも、オファー表示においては、
使用する「画像の差し替え」、「文字の大きさ」、「ボタンの位置」、
「コンテンツの内容」などがABテストに該当するでしょう。

また、キャッチコピーの次にオファーの検証を行うことで、
ユーザーの離脱率低下を防止する役目がありますから、順番についてもキャッチコピーの次に行うようにしましょう。

3番目「メインビジュアル」

キャッチコピーやオファー表示の次に重要視しなければいけないのが「メインビジュアル」でしょう。というのも、
メインビジュアルはサイト全体のイメージを左右しかねない要素の1つだからです。

メインビジュアルを差し替えたことによりサイトイメージが向上することもあれば、その逆もあり得ます。

サイトによっては、メインビジュアルが人物であったり、風景であるなど様々ですが、
ユーザーに訴求できる最適なメインビジュアルを目指して、何度もテストを繰り返す必要があります。

たとえば、メインビジュアルが人の場合には、表情やポーズ、
性別などによってもユーザーに与える印象が変化します。
自社サイトの訴求に最もふさわしい画像はどれなのかを、
ユーザーの動向など仮説を立てて検証することをおすすめします。

4番目「コンテンツ内容とデザイン」

ABテストの実行順序としては、コンテンツ内容とデザインをもっとも最後に設定しましょう。
というのも、コンテンツ内容やデザインを先に検証してしまうと、
肝心のキャッチコピーやオファー表示等の検証がしにくくなってしまうからです。

コンテンツ内容については、ユーザーの仮説を立てて、コンテンツ情報量は適切か、
コンバージョンボタンの文言は理解しやすいか、可読性のある文字の大きさか、
導線は適切に配置されているかなどです。

また、デザインについてもユーザーの興味を引くデザインになっているか、
配色やイラストが適切な表現になっているかなど、
さまざまな観点からABテストで検証してみると良いでしょう。

ABテスト期間

ここでは、ABテストの実施期間についてご紹介させて頂きます。
ABテストの実施期間について、A・Bの2パターン用意されている場合は、
それぞれの数値に差が出るまで、ABテストの経過を観察しましょう。

具体的にABテストを実施する期間ですが、広告ジャンルによって変わります。
リアルのチラシ広告によるテストの場合、最低5万部(少なくとも3万部)のチラシを配布して、
新聞折込なら3~4日間。同封広告なら1ヶ月程度になります。
フリーペーパー、会員誌、雑誌などの紙メディアへの広告出稿の場合は、
発行サイクルがそのままテスト期間になります。
週刊なら1週間、月刊なら1ヶ月程度になります。
他方、ネット広告の場合、オーガニック検索からの流入の場合、
1000UU(ページ当たりの滞在時間によって変わりますが)に達成するまでがテスト期間になります。

ABテストを無料で利用できるツールを紹介!

ABテストの実施にあたっては、ネットで広告を展開する場合、
ABテストツールを利用することをおすすめします。
ABテストツールとは、ABテストを効率よく行うためのツールです。

Aパターン、Bパターンだけでなく、複数パターンの効果検証が可能です。
また、ツールによってはより多くの変数を設定できる
「多変量テスト」もサービスに含まれていますので、ご覧になってください。

ABテストツール:Googleオプティマイズ

Googleオプティマイズは、Googleが無料で提供するABテストツールのことです。
2017年3月30日にリリースして、無償版として提供されています。

ABテストの対象となるユーザーを選択したり、ビジュアルエディタを利用してブラウザ上でパターンを作成したりと、
非常に使い勝手の良いツールとなっています。
多変量テストに関しては、無料版には一部制約がありますので、ご注意ください。

ABテストツール:Googleアナリティクスウェブテスト

Googleアナリティクスウェブテストは、Googleアナリティクスを利用して、ABテストを実施できるツールです。
テストをするためには、オリジナルページとは異なるテスト用ページを自ら作成する必要があります。

また、このテストページはもともとのページとはURLが異なるため、
Googleより重複ページとして認識されるおそれがあります。
それを防ぐためには、canonical指定を行う必要があり、少々手間がかかります。

Googleの提供するツールは、どちらも無料のため、コストもかからず導入しやすいです。

ただ、Googleオプティマイズにはアナリティクスウェブテストにはない「多変量テスト」や「リダイレクトテスト」、
「詳細ターゲット設定」などが備わっていますので、高度な設定を求めている方は、参考にしてみてください。

ABテストツール:Optimizely(有料)

ABテストツールの代表的なツール「Optimizely」。
世界シェアでNo.1を獲得しているツールで、日本語対応も可能。
無料ではなく、有料ツールになりますが、ABテストだけで3種類、多変量テストももちろん可能です。

また、複数ページを同時にテストすることも可能で、
PC以外にもスマホでのテストやモバイルアプリのテストなどあらゆるデバイスでテストを行えます。

30日間無料トライアルがついてきますので、この期間で導入を検討してみるのも良いでしょう。

ABテストパッケージ:Kaizen Platform(有料)

Kaizen Platformは、クラウドソーシングと ABテストツールを組み合わせたプラットフォームです。
その仕組みは、ABテストツールのBパターンをクラウドソーシング上でグロースハッカーに募集するというもの。

ユーザーは、 ABテストで改善したいページをグロースハッカーに伝えるだけで、
最適なページ改善案を提供してくれます。
このような仕組みであれば、社内に制作のリソースがなくても、対応でき非常に便利です。

多変量テストこそないものの、テクニカルサポートも充実していておすすめ。
有料サービスですが、予算に余裕のある場合には検討してみるのも良いかもしれません。

ABテストツール:SiTest(有料)

SiTestは、ABテストはもちろんですが、
そのほかにもヒートマップ解析、EFOなど、様々な機能を搭載したウェブ解析・改善ASPです。
ABテストだけでなく、そのほかの機能も充実しているのが何よりの魅力になります。

日本製で管理画面も操作性に優れています。
無料ではありませんが、価格設定もほかの有料ツールと比較すると、お求めやすい設定なのが特徴です。

 

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