<はじめに>
CPAやCPO、CPRなど広告の費用対効果を測れる指標はいくつか存在していますが、
その定義についてご存知でしょうか。
ここでは、企業プロモーションにおける広告効果測定の指標について、1つ1つその意味や概要、
さらには顧客生涯価値「LTV」についても解説します。
プロモーションにおけるコストの指標を十分理解して、販促活動に役立ててください。
CPA(CPR)、CPO、LTVの重要性
企業プロモーションにおいて、広告の費用対効果を正確に割り出すためには、
広告効果測定の指標を深く理解する必要があります。
中でもCPA(CPR)、CPO、LTV、限界CPOは非常に重要で、
プロモーションを担う者にとっては必ず習得しておきたい指標です。
それぞれの指標を解説します。
CPA(Cost Per Action)/ CPR(Cost Per Response)
広告媒体などから成果(コンバージョン)があった際に
発生する1件あたりの顧客獲得コストとなります。
成果とは、お試しサンプル、会員登録などになります。
CPO(Cost Per Order)
サービスや商品の注文1件あたりにかかった顧客獲得コストになります。
LTV(Life Time Value)
顧客生涯価値と言い表されており、顧客1人が生涯の間に特定ブランドやサービスに対して
どの程度の額を使用するのかを示した指標になります。
このように、これら①〜③の指標をマスターし、算出することにより、
プロモーションにおける具体的な費用対効果を算出できるというわけです。
ここから、具体的な算出方法や計算式をご紹介します。
会員登録・サンプル品等の広告に対するレスポンス件数で計算するのがCPA(CPR)
マーケティングにおいてよく混同されがちな指標として挙げられるのが、
「CPA(Cost Per Action)」と「CPR(Cost Per Response)」です。
これら2つの指標は、同じ意味合いで使用されることが多いため、わかりにくいかもしれません。
基本的には会員登録や、サンプル品など広告にかけた費用のうち、
どのくらい「アクションおよびレスポンス(資料請求・申込・注文)」があったかを元に、
1件あたりの顧客獲得コストを割り出した数値になります。
これにより、1件あたりの顧客獲得コストが割り出すことができ、
次回プロモーション費用を最適化することも可能。
CPRとは、ネット広告が台頭する以前に使われていた言葉になります。
CPAの計算方法と使い方
ここでは、CPA(Cost Per Action)の計算方法と使い方をご説明します。
<CPAの計算方法> 広告出稿費用÷コンバージョン数=CPA |
<CPA使い方> 30万円の広告費をかけて、定期申し込みが50件あった場合。 30万円(広告費)÷50件(定期申し込み)=6,000円(CPA) |
関連まとめ | |
CPAとは?低ければ良いというわけではない。CPAは事業バランスから考える |
CPOとは、本商品購入等にかかる顧客獲得単価
CPO(Cost Per Order)とは、顧客が本商品やサービスを購入した際の、
1件あたりの顧客獲得コストのことです。
CPAと混同してしまうかもしれませんが、あくまでもCPAは、お試しサンプル、
会員登録、資料請求等などのアクションに対するコンバージョン数から算出される数値になります。
それに対してCPO(Cost Per Order)は、広告費における注文数から算出される数値になります。
CPOの計算の仕方
CPOの計算の仕方と使い方については、次の通りです。
<CPOの計算方法> 広告出稿費用÷注文数=CPO |
<CPOの使い方> 100万円の広告出稿費用を投入して、500件の注文があった場合。 100万円(広告出稿費用)÷500件(注文数)=2,000円(CPO) |
CPAからCPOの計算方法(引き上げ率を活用)
ここまで、CPA(Cost Per Action)とCPO(Cost Per Order)の概要と算出式についてご紹介しました。
特徴としては、どちらのコスト指標も、
レスポンス1件あたりの広告費用を割り出すという点では変わりません。
しかし、通信販売やネットショップ等では、まずお試し商品やトライアルキットを購入してもらい、
商品の魅力を実感した顧客が本商品を購入し、新規顧客獲得につながるプロセスが通常です。
このことを踏まえると、引き上げ率が重要な要素となります。
引き上げ率とは たとえば、トライアルセットを購入した顧客が、 どの程度の割合で本商品を購入しているのかを示す数値のことです。 |
<引き上げ率の計算式> 100件のトライアルキットのうち、20件の購入があった場合。 20件÷100(トライアルキットの総数)=20%(引き上げ率) |
トライアル商品を購入してから、本商品で新規顧客を獲得する2ステップのビジネスモデルでは、
CPAの結果だけでみても、本商品が購入に至らない場合には、意味がありません。
つまり、引き上げ率も分析しながら、CPOを改善する必要があります。
CPAとCPOの関係性は、引き上げ率を活用し
「CPA÷引き上げ率=CPO」という計算式によって算出可能。
<引き上げ率を活用したCPAからCPO算出方法> CPA÷引き上げ率=CPO |
<引き上げ率を活用したCPAからCPO算出事例> CPAを1件あたり、2,000円に抑えることができた。しかしながら、100件のトライアルキットのうち、 20件しか購入に至らないとすると、引き上げ率は20%です。これを踏まえると 2,000円(CPA)÷20%(引き上げ率)=10,000円(CPO) |
20万円の広告出稿費用を投じて、そのうち100件トライアルキットの購入があったとします。
すると、上記の算出例のように、CPA(1件あたりの広告費)を、
2,000円に抑えることができました。
しかし、100件のトライアルキットの購入者のうち、
20件しか本商品の購入につながらなかった場合には、
引き上げ率は20%となり、
最終的にCPO(注文1件あたりにかかる広告費用)は、10,000円となります。
次回プロモーションまでに引き上げ率を改善し、
CPOの数値を引き上げておくと広告を実施する際に他社よりも有利に展開できます。
このように、引き上げ率も分析しながら、改善を図ります。
関連まとめ | |
CPOとは?事業運営で最も大切な指標をどのように設定するのか |
LTVとは、顧客生涯価値
LTVとは、「Life Time Value」の略となり、顧客生涯価値を意味します。
顧客1人が生涯の間に特定ブランドやサービスに対してどの程度の額を使用するかということ。
自社サービス・商品に対する信頼や愛着を持つファンが多い企業では、LTVの数値が上昇します。
LTVの計算方法
LTV(Life Time Value)は、一人の顧客ごとに求めることで正確な数値を算出できますが、
それは事実上厳しいので、以下のような計算式で算出します。
<LTVの計算方法> LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数×顧客の継続年数 |
LTVを向上させる方法
LTVを向上させる方法について、いくつか解説させて頂きます。
LTVを向上させるためには、大きく分けて以下の3つのポイントがあります。
購入単価を高める
購入単価を高めることで、LTVを高めることが可能です。
購入単価を高めるには、商品をまとめて販売したり、セットで購入してもらう必要があります。
さらに、セットでの販売だけでなく、
ラッピングサービスなど付加価値をつけることができれば、さらに購入単価を高めることも。
購入頻度を高める
購入頻度を高める工夫としては、DM、メルマガによるダイレクトマーケティング や、
SNSマーケティングなどによるアフターフォローが重要となります。
気軽に商品やサービスを購入できる、枠組みづくりを行いましょう。
継続期間を伸ばす
基本的には、購入単価を高め、購入頻度を高めることができれば、
顧客の定着率も比例します。
しかしながら、競合他社の存在による価格競争もありますので、
定期的に実施するお得なセールやキャンペーンを実施することも重要。
LTVから限界CPOを算出し、真の顧客獲得単価で広告を最大限に出稿する
LTVからCPOを逆算すると、一人当たりの顧客獲得単価の限界値が分かります。
この数値が分かると、ぎりぎりまで広告出稿をして顧客獲得をすることできます。
つまり、通常のCPOで計算する場合よりも高いCPOで広告を実施することができます。
事業拡大フェイズのときに最大限に広告出稿をすることができます。
<限界CPOの計算方法> 限界CPO=LTV×商品粗利率 - 利益額 |
CPA、CPO、LTVの関係性まとめ
企業プロモーションにおいて、
CPA(Cost Per Action)や CPO(Cost Per Order)を正確に割り出し、
その数値を改善することで、最適な費用対効果を生み出すことが可能です。
重要なことは、単にCPAを改善するのではなく、
引き上げ率との兼ね合いを考慮して、CPOを割り出してください。
さらに、LTV(Life Time Value)についても、
日頃から顧客のリピート率を高めるキャンペーン等の施策を実施することで、
効率の悪いCPAやCPOでも広告出稿を増やし、事業拡大につなげることができます。
今回ご紹介した、LTVからCPA、そしてCPOと全て連動していると認識して、
事業を考える際のご参考になれば非常にうれしいです。