<はじめに>
みなさんは、「新聞広告クリエーティブコンテスト」をご存知でしょうか?
今回はじめて知るという方もいらっしゃるかもしれませんが、
2002年から開催している16年の歴史のあるコンテストになります。
ここでは、新聞広告クリエーティブコンテストとは一体どのようなコンテストなのか、
また過去の受賞作品についてご紹介させて頂きます。
新聞広告の可能性を広げる「新聞広告クリエーティブコンテスト」を見ていきましょう。
新聞広告クリエーティブコンテストとは
新聞広告クリエーティブコンテストとは、
「一般社団法人 日本新聞協会」が主催するコンテストで、
若手クリエイター(プロアマ問わず)に新聞広告を制作する機会を提供し、
新聞広告の可能性を広めるために、2002年より、毎年実施しているものです。
次章より過去の受賞作品について、詳しくご紹介させて頂きます。
過去の受賞作品について
ここでは、「新聞広告クリエーティブコンテスト」の過去の受賞作品を、
応募点数や審査員の紹介、テーマ、最優秀賞、優秀賞別に詳しくご紹介します。
2018年度受賞作品について
2018年度の新聞広告クリエーティブコンテストの応募点数は、
787点の中からそれぞれクリエイターの副田高行氏(審査委員長)、
一倉宏氏(コピーライター)、児島令子氏(コピーライター)、
照井晶博氏(コピーライター)、服部一成氏(アートディレクター)と
日本新聞協会広告委員会の正副委員長がそれぞれ入賞作品を選定しました。
それでは「最優秀賞」、「優秀賞」について見ていきましょう。
・最優秀賞「楽しい日々」
製作者代表:石川平
引用:2018年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2018.html
もし新聞がなかったらというテーマに沿って、
新聞がなかったときの流行や炎上等に人々は流されてしまうのではないかという危機感を、
皮肉を込めて、逆説的に表現している部分が、審査員から大きく支持を集めました。
審査員の講評をみていきましょう。
小島委員:「新聞の有用性を、あえてインターネットの緩い部分を羅列することで表現しており、 とぼけたコピーとデザインのアウトプットが非常に巧みだ」 引用:2018年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
新聞とインターネットを比較した情報や作品はあっても、
インターネットのマイナス面の核心をつきユーモアを交えた作品はなかなか存在しないため、
非常に多くの支持を集めました。
皮肉やユーモアをあえて、
稚拙に計算をして表現するということは、なかなかできることではありません。
・優秀賞「どちらに寄っている?」
製作者代表:遠藤誠之
引用:2018年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2018.html
日の丸を掲げたこちらの作品のテーマは「どちらに寄っている?」です。
白背景に日の丸を中心付近に掲げており、
新聞各紙の報道や、論調の違いを表現する形となっております。
昨今、世界的にフェイクニュースが話題となる中、
新聞各社だけでなく報道を取り扱うメディア全てに共通する
「メディアリテラシー」のあり方を突くクリエーティブな作品として、
多くの審査員から注目を浴びました。
照井委員:「新聞だけではなく、この国のあり方を読者に問う作品だ」 引用:2018年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
製作者によると、他紙と比較し、読む楽しさを提案する広告として、
新聞社が垣根を超えて行うセールスプロモーションの企画として考えられたそうです。
新聞のメリットだけを訴求するのではなく、デメリットも含んだありのままを表現することで、
新聞自体の面白さを伝えることができると語っています。
2017年度受賞作品について
2017年度の新聞広告クリエーティブコンテストの応募点数は、
1,127点の中からそれぞれクリエイターの副田高行氏(審査委員長)、
一倉宏氏(コピーライター)、児島令子氏(コピーライター)、
照井晶博氏(コピーライター)、服部一成氏(アートディレクター)と
日本新聞協会広告委員会の正副委員長がそれぞれ入賞作品を選定しました。
2017年度の新聞広告クリエーティブコンテストのテーマは、「捨て犬・捨て猫問題」です。
・最優秀賞「カワイイ?」
製作者代表:平澤佳子
引用:2017年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2017.html
インパクトのある猫の画像と鋭いコピーが刺激的なこちらの作品名は「カワイイ?」です。
カワイイだけで動物を飼う人が一定数いる一方で、
飼い主が飼いきれないと、捨てられる猫もたくさんいます。
カワイイだけでは済まされない、
動物を飼うということはその動物の命を預かるということでもあると再認識させられる作品だと言えます。
カワイイだけで済ませてしまう現代社会への皮肉を交えた作品だとも捉えることができます。
命の大切さや責任について考えさせられます。
副田委員長:「何に対しても『カワイイ』の一言で済ませてしまう現代の風潮への皮肉も感じられる。 最優秀賞は、若いクリエーターや今後の新聞広告に影響を与える作品を、という思いで選んでいる」 引用:2017年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
・優秀賞「殺処分を、見に行こう。」
製作者代表:柳元良
引用:2017年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2017.html
シンプルな背景に非常に刺激的なコピーで見るものにメッセージを伝えているのがこちらの作品。
タイトルは、「殺処分を、見に行こう。」
一見、やや刺激が強いメッセージのように感じますが、
このメッセージ性があるからこそ、
犬や猫への殺処分への関心を高められるのではないかと考えさせられます。
飼い主の身勝手な行動が、犬や猫の殺処分を招いているのは現実です。
その現実から目を背けることなく、きちんと現実と向き合い、
少しでも殺処分をなくすための行動をという思いが伝わってきます。
服部委員:「現実を知ることの重要さを端的な言葉だけで強烈に訴えている」 引用:2017年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
2016年度受賞作品について
2016年度の新聞広告クリエーティブコンテストの応募点数は、
1,165点の中からそれぞれクリエイターの副田高行氏(審査委員長)、
一倉宏氏(コピーライター)、児島令子氏(コピーライター)、
佐野研二郎氏(アートディレクター)、照井晶博氏(コピーライター)、
服部一成氏(アートディレクター)と
日本新聞協会広告委員会の正副委員長がそれぞれ入賞作品を選定しました。
2016年度の新聞広告クリエーティブコンテストのテーマは、「ことば」です。
・最優秀賞「犯行に使用された言葉」
製作者代表:村橋満
引用:2016年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2016.html
言葉は時として、人を傷つけ、傷つけられます。
その言葉を「犯行に使用された言葉は未だ見つかっていない」と表現していることで、
言葉の本質を突いており、言葉は時として狂気になる残酷さを教えてくれているような作品です。
審査員のみなさんを早い段階から引きつけた作品として注目を集めました。
佐野委員:「内容とデザインがマッチし、余白の意味を考えさせられる」 引用:2016年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
・優秀賞「言葉がつく嘘」
製作者代表:宇崎弘美
引用:2016年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト
https://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2016.html
本人は何気ない一言だったとしても、その一言が不意に誰を傷つけている。
まさにそれは言葉がつく嘘なのかもしれないと言葉が持つ恐ろしさを感じさせるものとなっています。
「みんな」とは、本当は何人なの?言葉はその使い方次第で、時には大げさな雰囲気を作ることもできます。
メディアリテラシーにも影響を与えそうな作品と言えます。
照井委員:「世論形成に大きな影響力を持つ新聞を含め、 みんなが言っていたというような雰囲気づくりにメディアも荷担していないだろうか。 メディアの自己批判の意味も込めてこの作品を選んだ」 引用:2016年度 新聞広告クリエーティブコンテスト|新聞広告クリエーティブコンテスト |
まとめ
ここでは、新聞広告クリエーティブコンテストに着目し
2018年度、2017年度、2016年度の受賞作品をご紹介しました。
どの作品も、インパクトがあり強いメッセージ性を感じさせるものばかりでした。
インターネット広告や、デジタル媒体が増える中で、
紙ならではという強いメッセージ性やデザインは、非常に訴求力や魅力がありますね。